一般

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YouTubeで「マグネシウム循環社会」の解説動画を公開しました。エネルギー通貨としてのマグネシウムの利点、そして太陽光励起レーザーの発振、マグネシウムエンジンの実験風景などを紹介しています。太陽光励起レーザーの実験では、光ファイバーによるレーザーの伝送も行っています。
ぜひご覧ください。

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アラブ諸国では潤沢なオイルマネーを利用して、すでに多数の海水淡水化プラントが稼働しています。多く用いられるのは、火力発電所などから排出される高温蒸気で海水を蒸発させて淡水を作る多段フラッシュ法です。発電所などがない地域では、海水に圧力を加え、膜(逆浸透膜)を使って塩分などを漉過する逆浸透法が普及し始めました。
ただ多段フラッシュ法は立地に制限があり、逆浸透法では海水に圧力を加えるのにかなりの電力が必要です。
私たちは多段フラッシュ法のような熱源や逆浸透法のような電力も必要としない、新しい海水淡水化技術を開発しました。詳しい仕組みは特許に関係するため、ここでは紹介できませんが、新技術は小規模の淡水化プラントでも効率がよいので、砂漠に運河を掘って海水を導き、運河沿いの各地に淡水化プラントを配置して淡水を生産、作物を栽培するといったシステムが実現できます。

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staff on 2009/12/15 11:55
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マグネシウムのリサイクルはできるとして、マグネシウムそのものはどうやって調達すればよいのでしょう? エネルギー通貨として流通するほどの量を現在と同じようにドロマイトなどの鉱石を採掘して調達しようとすれば、採掘だけでも膨大なエネルギーとコストがかかります。
私たちは海からマグネシウムを生み出す計画を練っています。海には1800兆トンというマグネシウムがイオンの形で含まれています。海水を濃縮すれば塩化マグネシウム(にがり)が得られることはご承知でしょう。つまり海水を濃縮してマグネシウム化合物を取り出し、これに太陽光励起レーザーを照射して、純粋なマグネシウムを生産するというわけです。
海水中の塩化マグネシウムは含水性塩化マグネシウムと呼ばれ、水が結合しています。加熱すると水が除去され、酸化マグネシウムになります。あとは、リサイクルのプロセスと基本的に同じです。酸化マグネシウムと同時に得られる塩酸は、液体なので扱いは難しくありません。

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Carbon dioxide gas laser smelts magnesium

炭酸ガスレーザーでマグネシウムを製錬

私たちは太陽光励起レーザーで400W〜lkW級が達成できたとして、実際にマグネシウムを得ることができるのか、別タイプの実用レーザーを使って実験を行っています。400W/1kWの炭酸ガスレーザーを酸化マグネシウム粉末に0.2秒間照射すると、粉末表層が蒸発、そのガス中の30%がマグネシウム原子であることを確認しました。ここで重要なのはどれだけ効率よく純粋なマグネシウムを作れるかという点にあります。できたマグネシウムの燃焼で得られるエネルギーを生成にかかったレーザーのエネルギーで、割った値を「エネルギー還元効率」と言います。これが大きいほどよいわけですが、実験データから求めた値は45%で、目標値50%にかなり近い成果を得られています。

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A "solar-pumped laser" system in Chitose

千歳の太陽光励起レーザー実験装置


20000°C相当のエネルギーを与えれば、触媒なしでマグネシウムを製錬できます。しかし、20000°C相当に相当する膨大なエネルギーを投入することは可能なのでしょうか?
子ども時代に、虫眼鏡を使って太陽光を集めて紙を焼いて遊んだ経験は、みなさんにもおありでしょう。ただ、集光によって実現できる高温には理論的な上限があります。それは6000°Cです。つまり、いくら太陽光を集めても、その発生源である太陽表面の温度を超えることはできません。けれど、人間の知恵を活かせば、さらに温度を上げられます。それが、「太陽光励起レーザー」です。

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世界のマグネシウム生産は年間約60万トン。うち7割が中国産で、熱還元法という方法で製錬されています。熱源は石炭火力。マグネシウムを1トン製錬するのに、石炭が約11トンも必要と言われます。エネルギー多消費型のプロセスです。
マグネシウム製錬では、フェロシリコンなどの触媒を使うのが「常識」です。酸化マグネシウムにおける酸素とマグネシウムの結合を千数百°Cという比較的低い温度で断ち切るには、この触媒が欠かせません。マグネシウムの蒸発に必要な潜熱や原子間の結合エネルギーに相当するエネルギーなどを合わせると、本来なら20000°C相当のエネルギーを与えなければ反応が起こりません。逆に言えば、20000°C相当のエネルギーを与えれば、触媒なしで酸素原子とマグネシウム原子の結合が自然に切れるということになります。

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マグネシウム(から発生する水素)を直接燃焼させることもできます。マグネシウムと水との反応では、熱も発生します。この熱をうまく使えば、反応で発生した水素を燃やすことが出来、高温高圧の水蒸気が発生します。タービンを回して動力を取り出したり、充電に利用できるわけです。
この場合、マグネシウム1kg当たりの発熱量は水素燃焼分を含めると25MJ(メガジュール)。これに対して石炭は30MJとマグネシウムより少し高いのですが、石炭は一度燃やしたらそれで終わりです。燃えがらの処分にも手間が掛かり、燃焼によって膨大な二酸化炭素が排出されます。
一方、マグネシウムが燃えて(酸素と反応して)できた酸化マグネシウムはリサイクルしてマグネシウムに戻せます。燃焼でできるのは酸化マグネシウムと水(水素の燃焼による)だけで、二酸化炭素は排出しません。現在稼働している石炭火力発電所で石炭の代わりにマグネシウムを燃やす時代が来るかもしれません。

staff on 2009/12/13 19:22
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eVionyx's zinc fuel cell car / eVionyxが開発した亜鉛燃料電池車

eVionyxが開発した亜鉛燃料電池車

マグネシウムは燃料電池の燃料にもなりえます。
現在、亜鉛やアルミニウム、鉄、そしてリチウムなどの金属空気電池が開発されています。金属空気電池とは、金属と空気中の酸素の酸化作用を利用した電池です。通常の電池は、負極と正極それぞれに活物質が必要とされますが、金属空気電池の正極活物質は空気です。そして、負極活物質の金属を燃料として入れ換えられるようにすれば、金属空気電池が燃料電池になるわけです。
普通車の水素燃料電池車が500km走るためには水素6kgが必要とされますが、同じことをマグネシウム燃料電池車で実現するには70kgのマグネシウムがあればよいことになります。実用化の暁には、マグネシウムの燃料パックをカセットのように燃料電池の発電機構に装填する方式になると考えられます。今の自動車がスタンドで給油する感覚で、燃料パックを交換するわけです。
2003年、金属燃料電池の研究ベンチャー、米eVionyx社(ニューヨーク州、ホーソン)は普通乗用車を改造した実験車を開発し、亜鉛燃料電池で600kmの連続走行に成功しています。また、燃料パックを100回以上交換して走らせても問題がないことを実証しました。
この実験データを元にした亜鉛燃料電池の効率は、1kg当たり500W時。仮にマグネシウムに当てはめると、1kg当たり1500W時と、リチウムイオン電池(定常的には200W時)をはるかにしのぐ効率を期待できます。

staff on 2009/12/13 18:14
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マグネシウムは軽くて強い金属です。密度は鉄の1/4、アルミニウムの2/3で、高い熱伝導性を備えています。
マグネシウムにはもう1つ大きな特長があります。それは反応性が非常に高いこと。火を付ければ激しく燃えるのです。激しく燃えるという点ではマグネシウムは水素に引けを取りません。
同一容量の重量比較では、マグネシウムは水素より重くなります。しかし、水素は丈夫なタンクが必要で、何らかの事故があればタンクから漏れる不安があります。
一方、固体のマグネシウムは650℃以下では発火しませんから、常温で保存でき、10年以上の貯蔵が可能です。だから、必要なだけ倉庫に積み上げておくことができます。
水素はそうはいきません。貯蔵量に見合ったタンクが必要です。仮に100万kWクラスの発電所が1日に生み出すエネルギーを1気圧の水素で蓄えたとしたら、1km×1km×10mの巨大なタンクが必要ですが、マグネシウムなら15m×15m×10mで収まります。

staff on 2009/12/10 00:18
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マグネシウム循環社会の概略図(図版作成:矢部孝、日経サイエンス)

マグネシウム循環社会の概略図(図版作成:矢部孝、日経サイエンス)

現在の「エネルギー通貨」は、電気です。電力網を介して流通し、熱や動力、証明などさまざまな用途に使われます。最近まで、将来のエネルギー通貨になる可能性があるのは水素だと言われていました。しかし、私たちが考える次世代のエネルギー通貨は、本物の通貨と同じ金属。アルミニウムよりも軽く、銀白色の輝きを放つ金属、マグネシウムです。
海水中には、1800兆トンという大量のマグネシウムが含まれています。このマグネシウムを「太陽光励起レーザー」を利用して製錬すれば、自動車や発電所の燃料として利用することができます。生成された酸化マグネシウムは、太陽光励起レーザーを利用することで金属マグネシウムとして再生することが可能です。
海水からマグネシウムを取り出すには、太陽エネルギーを利用した低コストで高効率の淡水化装置を使います。これはまた、世界的な水不足への解となるでしょう。

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